少子化の時代、大局的な動向に注意を向けるべきは勿論なのですが、私は一大学教員として、同時に自分の足下も見失わないようにしたいと思っています。大学全体の教育の質の向上に関してもささやかながら関わってきましたが、他にも小さなことながら個人的に経験して感じたことなどを載せています。
2012年海外出張記録
2012年3月20日~25日 ドイツ出張
CJLCの先生方4名と共に、ドイツの日本語教育関係者で特にCEFRを取り入れた取り組みに熱心な2大学を訪問しました。「教育の接続articulation」の可能性を探る
CEFRを日本語教育現場でカリキュラムや教材等にもっとも利用/活用しているドイツの大学の例として、ベルリン自由大学とボン大学を訪問しました。
私自身は10年来「CEFRの追っかけ」をやっていますが、グローバル化時代にあって、日本に留学しようとする海外の学生(この場合ドイツの学生)と、その受け入れに当たる日本の大学(例えば大阪大学CJLC)の担当教員や学生が、(CEFRという)同じ枠組みで話ができるということが、将来に向けてプラスになると考えています。
予想以上に、同行の4名は色々と情報を得る事ができたと思いますし、刺激になったようで、この企画に加わって良かったと思いました。
今回のドイツ出張では、その利点と、乗り越えるべき問題、困難点を見極める事ができればと考えて行きましたが、それがどの程度得られたでしょうか。
ベルリン自由大学でも、ボン大学でも、それぞれに大変な状況にありながら、とても意欲的に日本語プログラムを良くしようと努力しておられる先生方とお話できて、大変刺激的だったことは確かです。「教育の接続 articulation」の観点から、きっとこの成果は具体的に阪大CJLCの現場でも現れるものと期待しています。
2012年8月20日 Uni-Tübingen(ドイツ、テュービンゲン大学)日本文化センターの小山先生との面談。ドイツの日本語教育事情、外国人児童生徒への(移民への)言語教育等に関する最新情報の収集に務めた。
2012年8月24, 25日 SOAS AJEワークショップ(英国、ロンドン大学アジアアフリカ研究所で行われた「ヨーロッパ日本語教師会」のワークショップ)に参加した。「CEFR・JFスタンダードを生かした日本語教育」というテーマ通り、CEFR(ヨーロッパ言語共通参照枠)の枠組みや能力記述(Can-Do statement)がこの10年間でヨーロッパの日本語教育の現場で具体的に利用されてきている状況について、多くの報告を聞いた。ヨーロッパの日本語教育現場でもCEFRがかなり浸透してきているのがわかった。
参考:AJEのHP: http://www.eaje.eu/2012.html
基調講演者のクレア・ブルギニョン先生の力強い「Communic'actionnal approach(コミュニケーション+アクションのアプローチ)」は、興味深く聞いた。「複言語主義」「行動中心」ということを進めて行くと、やはり評価にも「行動」の部分を取り入れる必要が出てくるのは頷ける。教授法、カリキュラムデザイン、そして評価にもその方法を提唱していて、それを取り入れたテストによるフランス語の全国資格試験(ディプロマ)の制度を進めようと意欲的である。2012年8月30日(木)
IUFM ストラスブール教育大学
以前にもお会いしてお話したAndrea Young先生の研究室で、休暇からもどられたばかりだったのに、長時間話し込む。少数言語/マイノリティー/移民の子どもたちへの言語教育について、フランスの政策、アルザス地方の状況、ストラスブール大学の教員養成における取り組みについてなど、現状と問題点などを忌憚なく話していただいた。ご専門の「言語意識(Language awareness)」の推進のための取り組みや、文献についても資料をいただいた。
私が代表をしている科研(昨年度までの基盤(C)と今年度からの基盤(B))の研究デザインと成果についてもお話した。大変興味を持っていただき、励まされた。
私たちが行っているような2言語能力を評価しようとする調査研究は、ヨーロッパやフランスでは非常に実施が難しいことについて、伺った。
2011年ジム・カミンズ教授の講演会の映像です。
http://www.world-lang.osaka-u.ac.jp/
http://www.world-lang.osaka-u.ac.jp/user/shomu/notice.html#Lecture201102192010年10月16・17日にウランバートルのモンゴル日本センターでのシンポジウムで講演をしました。詳しくはこちらへ
ジム・カミンズ教授の著作についての勉強会を開催しました。2011年2月19日「ユネスコ国際母語デー記念 学術講演会」(大阪大学世界言語研究センター主催)に照準を合わせた勉強会です。
詳しくはこちらへ
2010年11月6日 香港大学で講演
「日本語教育における評価とアセスメント」 (香港大学での講演ポスター)
2010年11月26日 麗沢大学にて 「CEFRを用いた言語教育に関する懇談会」ゲストスピーカーとして
2010年11月27日 東京外国語大学 日本語教育シンポジウム パネリストとして出席 (ポスター)
2009年1月22日 フライブルク(ドイツ)にて移民の子供の言語教育に関する国際シンポジウムで報告しました。
International Symposion
Pädagogische Hochschule Freiburg
Thursday, January 22nd, 09
"Immigrant children, bilingual education and human rights"
14 - 16 Uhr "Learning in the First Language and Developping Bilingulism at Immigrant Children - a Human Right"
[KI. Auditorium 101]
(Markku Peura, Swedish-finish School, Upplands-Väsby/Sweden)
16 - 18 Uhr "Chinese, Korean and Brasilian Immigrant Children in a Japanese School"
[KG V 103]
(Prof. Dr. Junko Majima, Osaka- University/ Japan)
18 - 20 Uhr "Italian, Greek and Turkish Immigrant Children in School and Occupation: Südbaden und Baden-Württemberg"
[KG V 103]
( Prof. Dr. Havva Engin, Pädagogische Hochschule/ University Karlsruhe, Deutschland).
フライブルク訪問記 (1) (2)
2009年11月4日
マレーシア・クアラルンプールにて『大阪大学フォーラム2009』(実行委員会の詳しい報告書はこちら) パネルディスカッションの司会をしました。
テーマ「日本語・日本文化分野における大阪大学と東南アジア諸大学との教育研究連携の新たな可能性」
2009年3月から2010年3月までの活動記録です。
各種報告記録
大学教員の資質向上 (Faculty Development)
1 2001年3月「FDワーキング・グループ報告書」
2 2003年3月 「FD合宿研修報告書 教育改善推進室 室員報告」
3 2003年3月 「学生相談室年報 研修会参加報告」
4- a 2004年3月 「2003年度大阪外国語大学FD合宿研修報告書 ミニ講義4:在学中の諸課題」
4- b 2004年「外大の教育を考えるための文献リスト」
5 2005年3月 「FD研修会参加者の声と今後の展望」『平成16年度大阪外国語大学FD研修報告書』大阪外国語大学 教育推進室 pp.27-39
6 2005年3月 「FD研修会を終えて」『平成16年度大阪外国語大学FD研修報告書』大阪外国語大学 教育推進室 pp.42-44
7 2005年3月 「「教育と授業」を考えるための参考文献」『平成16年度大阪外国語大学FD研修報告書』大阪外国語大学 教育推進室 pp.65-70
8 2007年2月 「FD研修会を終えて」『平成18年度FD研修報告書』
2005年3月「通訳・翻訳者養成プログラム調査報告 ー ドイツ・フランスの事例」『世界の通訳翻訳教育』大阪外国語大学(平成16年度学内特別研究費II)
ヨーロッパ言語共通参照枠 (CEFR) の情報収集
2001年4月から2002年3月までドイツに滞在しました。その間に考えて書いた雑文などを載せております。
ドイツ便り
2004年の夏に1週間だけインドを旅してきました。
エンパワメントを得たのは誰だったのか「『国際人権ひろば』No.57(2004年9月号)ヒューライツ大阪(財団法人アジア太平洋人権情報センター)」