モンゴル日本語教師会シンポジウム 講演録
「日本語教育における評価・スタンダード・アセスメント」
真嶋潤子(大阪大学)
1 はじめに
はじめまして。ただいまご紹介に預かりました真嶋潤子と申します。現在は大阪大学世界言語研究センターというところの所属ですが、2007年に阪大と統合する前は、大阪外国語大学でした。
この写真は、もと大阪外大、現在の阪大外国語学部がある箕面キャンパスです。ここから参りました。
これまでご縁がなかったのですが、今回初めてモンゴルに参りました。モンゴル日本語教師会会長でモンゴル国立大学のドルゴル先生、日本・モンゴル文化センターの藤島さんはじめスタッフのみなさま、そしてこちらで教えている私の教え子オユンゲレルさん、といった大勢のみなさまのお蔭で、このように立派な会でお話をさせていただく機会をいただき、御礼を申し上げます。モンゴルと日本の人口比は大体1対50だそうで、それでいくと、本日80名もお集りだということは、日本で言えば4000人規模の会ということで、大変大きな会だということがわかります。大変光栄に存じます。私は、モンゴルのことはよく存じませんので日本語を教えておられる先生方にお話をさせていただく前に、少しでもモンゴルの教育現場を理解しておこうと思って、一昨日いくつかの日本語のクラスや施設も見学させていただきました。ありがとうございました。授業見学を快くさせていただき、本当にありがとうございます。熱心でとても覇気のある優秀な学生さんたちが学んでおられるのを見学して、大変勉強になりました。
本日は「日本語教育における評価・スタンダード・アセスメント」というテーマでお話をさせていただくのですが、このテーマは現在地球のあちこちで取り上げられているテーマで、モンゴルと日本だけを見ていてもわからないことが多いので、ヨーロッパやアメリカなどの動きを見ながら言語教育の流れを見るという大きい話になると思います。とは言え、私が世界の動きを全て把握しているわけではもちろんありませんので、一部分の話にはなりますが、ご参考になれば幸いです。
本題に入る前に、せっかく大阪から参りましたので、大阪大学をご存知ない方もいらっしゃるかと思いますので、少しご紹介させていただきます。
大阪大学は、「地域に生き、世界に伸びる」というモットーで、豊中、吹田、箕面という3つのキャンパスに分かれて、教育研究を行っている総合大学です。2007年10月に大阪外国語大学と統合しましたので、外国語学部を持つ唯一の総合大学となり、学部定員で、国立大学中最大になっています。多ければ良いというわけでは必ずしもありませんが、留学生も増加しており、現在1500名近くの学生が世界各国から来ております。モンゴルからも、どうぞもっと来ていただきたいと思います。
2 背景としての言語教育観の変遷
では、本題に入りたいと思いますが、私の話の前に、昨日の岡本先生のご講演内容を少し復習して、私の話の位置づけを説明しておきたいので、第二次世界大戦後の日本語教育の目的の変遷を確認し、言語教育観の変遷と広くグローバル化する社会変化との関連を見ておきたいと思います。
1960年から70年代あたりは、日本語教育の戦後の創成期と言ってもよいかもしれませんが、何を教えるかという「教育内容」が主たる関心事で、教師中心であり、日本語という言語の知識を教えるということが中心だったと考えられます。それが、80年代からは、英語教育の動きにも影響されコミュニケーション能力をつけるためにはどうすればよいかという「教育方法」に関心が移ってきます。「学習者中心」という考え方が出てきて、そのためには学習者のニーズをきちんと把握する必要があるということが考えられるようになってきました。90年代からは、「教育関係」と言われる事態を捉えるようになり、教師から学習者に知識を移行することを目的とするのではなく、教師・学習者は共に「学びの共同体」を形成するのであるという考えが出てきました。学習ということに関して、学習者は従来の受け身で空っぽのバケツというイメージではなく、自分の学習の内容や方法に主体的に関わる者、「学習者主体」という考え方が出てきました。生涯教育の重要性と共に、自律的学習者 autonomous learner あるいは、learner autonomy学習者の自律性ということに目が向けられるようになりました。そこでは、以前のように言語知識だけを教えていた時代のテストや評価だけでは捉えきれない評価法の考え方が出てきています。「代替的評価」と言われるものです。これは後でもう少し詳しく述べますが、このように戦後これまでの日本語教育の動きは大きく3つに分けられると捉えられます。もちろん新しいものが出たからといって、古いものが全く取って代わられたのではありません。現在でも「教育内容」も「教育方法」も重要でありますが、軸足の置き方が変わってきたと言えると思います。
さて、次に言語教育観の変遷とグローバル化による社会変化への対応ということを、ヨーロッパの状況、アメリカの状況、そして日本ではどうかという点を大きく述べておきたいと思います。
まず、ヨーロッパですが、過去30数年間をかけて「ヨーロッパ言語共通参照枠(CEFR)」という枠組みによる言語教育政策を、加盟国47カ国からなる欧州評議会で研究開発し、2001年に発表し、実施しています。社会の中に、異なる言語の単一言語話者グループがいくつもあるという状況を指す「多言語主義multilingualism」ではなく、ヨーロッパ市民みんなが、目的に応じて複数の言語を使うことのできる「複言語主義plurilingualism」を掲げています。複数言語能力の育成を促進するための道具として、このCEFRが理念的なところから、言語能力レベルの提示、それに基づく評価まで、一貫して提示しています。この言語能力レベルというのが、言語や国を超えた共通の物差し、言わば「共通メタ言語」とも言える「道具」であり、普遍性、透明性があるのでヨーロッパ地域以外への影響も非常に大きいものがあります。
一方アメリカの外国語教育政策は、「9.11.」の事件の後、国家の安全保障という観点から変化が見られます。アメリカという国の日本語教育では、第二次大戦時に成果を上げ、戦後多くの日本研究者を輩出した「アーミーメソッド」が有名ですが、効率の良い外国語教育というのは、スパイ養成や占領地を統治するのにも不可欠な、軍事上の問題と捉えられています。2006年の当時のブッシュ大統領年頭教書で、アメリカの安全保障のために5つの言語の教育に特別予算をつけることが明示されました。アメリカにとって重要な5言語というのは何だと思われますか?
「ロシア語、中国語、ペルシャ語、アラビア語、ヒンディー語」の5つです。この言語を高校で教えている教員や、生徒に対して、留学機会を与えたり奨学金を出したりするといった支援を明言しました。また一方で、アメリカという国では、教育は州レベルの裁量が大きいので、全国統一の規準といったものがなかったようですが、「落ちこぼれ防止法 No Child Left Behind」という名前の法律が2001年に作られ、その一方で「ナショナル・スタンダーズ National Standards」が作成されています。これは外国語以外の教科でも作られているようですが、これについても、また後で述べます。
さて、それでは日本においてはどうかと言いますと、日本語教育に関してはアメリカよりはヨーロッパのCEFRの影響を受けていると言えると思います。ご存知のように交流基金という、海外における日本語教育の普及に尽力している重要な機関が、CEFRの普遍性・重要性を認識し、『JFスタンダード2010』を作成しました。そしてそれに連関しているのが、「新・日本語能力試験」です。モンゴルでも、日本語能力試験の受験者は多いと思いますが、新試験のレベル分けに、CEFRの影響が大きいと聞けば、放っておく訳にはいかないでしょう。
以上のことを前置きとして、私の今日の話は次のスライドのような構成になっています。
3 用語の説明
では早速、用語の説明ということで、「評価とは何か」という話に入っていきたいと思います。
何事によらず、人間が活動する際には、その活動を振り返ってどうであったかを考えるという行為を行うと思います。あらゆる活動には広義の「評価」が行われると考えられますが、我々が関係する教育分野においては「評価」には、学習者が自分の能力を「自己評価」するという「ミクロのレベル」から、教育機関の「(外部)評価」といった「マクロのレベル」までいくつもの種類があります。
そのミクロとマクロの間に、教師が行う学生の「成績評価」、権威ある機関が行う「認定評価」(検定試験)があり、学生による「授業評価」というものも、昨今の日本の大学でもかなり実施され日常化してきたと思います。また言語教育コースやプログラムの「プログラム評価」というものも、学習者の側からあるいは外部評価を入れたりして、改善点などを指摘してもらえると良いと思います。
ところで「評価」と一言で言っていますが、実は評価はevaluation なのか、アセスメントassessment なのか、混同して用いられることもままあるようです。アセスメントは(言語能力の)「査定」と訳されることもありますが、この査定には結果の善し悪しといった価値づけは本来的にはありません。一方「評価 evaluation」のほうは、英語でもvalue価値を見るということで、価値判断、善し悪しの判断が入ると解釈できるでしょう。広く「評価evaluation」と言っていますが、アセスメントはその一部だとする考え方も、逆の解釈もあるようです。また、90年代以降は学習者自身が自己評価self-assessment をして、自分の言語能力を把握しようとすることに意味を見出す傾向にあります。これは他人と比較するものでなく、自分の能力は何がどうなのか、あるいはどう変化しているのかを客観的に知る事で、自律的学習者の育成という面からも重要なことだと思われます。
さて、みなさんはこれまで「評価」ということを、じっくり学んだり考えてみたりされたことがおありでしょうか。これまでの評価の主流は、教師が行う学生の成績評価であり、「テスト」や「試験」と呼ばれるものや、「小テスト」や「クイズ」などと呼ばれるものがあると思います。評価対象になるのは、文法、語彙、文字、音声などで、そこで要求されているのは、正確な記憶力ではないでしょうか。伝統的に、全てペーパーテストであり、点数化して「良い学生」と「そうでない学生」をラベルづけするために、評価が使われてきたということはなかったでしょうか。テストで測った結果の数字は、学習者にとってどんな意味があるのでしょうか。
しかしこのような従来の評価の考え方だけでは、言語教育観・言語学習観の変化に対応しきれず、「代替的評価」の必要性や可能性が議論されるようになってきました。
そもそも人間の言語能力というのは複雑なので、一度のテストで評価しきれるものではありません。「言語能力」と言うとき、何を意味しているのでしょうか。言語に関する知識量でしょうか。「コミュニケーション能力」を身につけようとする学習者の言語能力はどうしますか。また昨日行われたワークショップのように、恊働学習での学びは大きかったと思われますが、そこで学んだことは数量化できるでしょうか。
ここにきて、これまでの点数化するのみであった評価から、質的評価の可能性というものが指摘できると思います。
さて次に「スタンダード」という言葉が、ここ何年も日本語教育の分野で聞かれますが、どういう意味でしょうか。こうでなければならない、ということはなく、色々な意味で使われているようです。例えば、このマークはご存知でしょうか。「日本工業規格JIS」ですね。
「スタンダード」も多義的で、文科省が小中学校向けに出している「学習指導要領」にあるような「最低基準性」を示すものもあれば、「標準規格」と言われ「その基準を満たしていなければ資格・認定を与えない」というJISのいう「スタンダード」の使い方もあります。
しかし、世界の日本語学習者の多様性を考えた時に、そのような「最低基準性」や「標準規格」を追求するのはどうでしょうか。同一規格化は、言語教育に馴染みにくいのではないでしょうか。それで、言語教育・学習に関する全ての人が(従うべきものではなく)参考にできる枠組み、あるいは考慮する際の指針としての道具(ツール)として、欧州評議会が出してきたのが『ヨーロッパ言語共通参照枠(CEFR 2001)』であり、その影響を受けて日本で作られたのが『JFスタンダード2010』です。
「スタンダード」とは何かということについて、柴原(2007, p.113)では、「標準・規範であり、教室指導や学習環境はどうあるべきか、また言語運用能力をどう測るか、について記述された包括的な指針である」とされています。また、ここでいう「標準・規範」とは「「目指すべきゴール」にも「学習者が当然クリアすべき最低基準」にもなりうる。ある学習者グループの「平均的な像」ともとれる」と指摘されています。
私は2007年に、当時の大阪外大の教員チームで、米国の協定校を3校訪問して、外国語教育の評価ということを調査する機会を得たのですが、「ナショナル・スタンダード」を定着させようとしている教員の中にも、認識のばらつきがあるのを感じました。結局、それぞれの教育機関の学習者のニーズによる選択があって良いのではないかと思っています。
次に、「評価」というものを、日本語教育のコース・デザインの中に位置づけておきたいと思いますが、このスライドをご覧ください。コース・デザインというのは、まず学習者のニーズを把握して、期間終了時の到達目標を立て、そこから言わば逆算してシラバス・デザインをし、それを教えるための教授法、教材、時間割、担当者等を考えたカリキュラム・デザインをして、担当者がようやく指導案を考え準備して教育実施を行います。実施の後に、やり方が良くなかったところ、内容がわかりにくかったところなどを把握し、学習者の到達度、能力を査定(アセスメント)し評価するという流れになります。
その評価を踏まえて、カリキュラムの改訂や教育実施上の改善を行うというサイクルができることになります。
その評価には大きく分けて3種類あるので、ここでまとめておきます。
(1)診断的評価(Diagnostic evaluation)
これはコースを始める前に学習者の能力・既習度を調べて適切なプレースメント(クラス分け)をしようとするものです。教育機関でプレースメント・テストを作成する場合もあるでしょうし、日本語能力試験やアメリカのACTFL OPIのような習熟度テストProficiency test を診断的評価に利用する場合もあるでしょう。
(2)形成的評価 (Formative evaluation)
コースの途中で、学習上の問題や授業の改善点を見るために、能力を調べるもので、みなさまにもおなじみの「小テスト」や「中間テスト」といったものです。教育現場で大切な、日々の営みに織り込まれた評価だと思われます。
(3)総括的評価 (Summative evaluation)
コースの終了時に学習者の到達度を調べる「期末テスト」などの到達度テストAchievement testも重要ですが、これは特に学習者のその後の人生における進路にも影響を与える事が大きいものです。その意味で、(1)で紹介した日本語能力試験などの習熟度テストも、総括的評価の一種と位置づけられることもあることを指摘しておきます。
4 「言語教育観」の変化と海外の動向
この数十年の間に、言語教育観に見られた変化というのをまとめるとこのようになると思います。まず言語知識の(蓄積)学習からコミュニケーション(運用)能力育成へという変化があり、行動中心主義に基づく課題遂行型の言語教育が重視されてきています。次に、「教師中心」から学習主体である「学習者中心主義Learner-Centredness」へという重要な考え方の変化がありました。これは多くの教師にとっては、それまでの自己存在を脅かされるかのようなパラダイム・シフトを伴いますが、教師が不要であるという話ではなく、言語教育の内容や方法を考える時に、学習者のニーズを中心に考えた方が効果的で満足度の高い指導ができるという話です。さらに、学習に関しては受け身でない「自律的学習者Autonomous learner」の育成ということを意識するようになってきました。そのこととも連動しているのですが、世界中の多くの国で少子高齢化が顕在化するようになったことと、グローバル化の影響で世界各地で人的交流や移動が頻繁に行われ、外国語学習が必要になった大人が増加しているという背景もあって、学習者は学齢期の子どもだけでなく「生涯教育」が重要であることが指摘されるようになってきました。
これらの変化にどの点からも適応しているのが、欧州評議会のCEFRであると言えると思います。
このような動向を踏まえて、次に評価者(教員や学校や言語教育政策立案者)に求められることを考えておきたいと思います。
「評価」について書かれた本などには、たいてい「妥当性 validity」と「信頼性 reliability」と「実行可能性 feasibility」がテストの作成や実施の際に重要であるという説明があると思います。「妥当性」とは、そのテストが測るべき物をちゃんと測っているのかという問題で、「信頼性」はそのテストを何度やっても、だれがやっても結果が一定で揺れないということです。またいくら「妥当性」と「信頼性」の高いテストを作ったとしても、実施に多大の時間や経費がかかりすぎるなどという実行を不可能にするような問題があれば意味がないので「実行可能性」という点の検証も忘れてはならないでしょう。これら3点だけでなく、欧州評議会のCEFRで訴えている重要な点は、「透明性 transparency」、言語を超えた「共通性 commonality」、国境を越えた「普遍性 universality」そして「(社会的)説明責任 accountability」です。とりわけ「透明性」や「(社会的)説明責任」といった視点は、これまで日本語教育でも(日本の教育全般においても)取り上げてこなかった点であり、画期的だと思われます。このような点をすべて考慮して一貫性を持たせることの重要性を説いているのがCEFRです。
言語教育政策において、我々はヨーロッパで培われた知見を参考にさせてもらいたいと思います。そのCEFRというのは、Common European Framework of Reference for Languagesの略で、日本語では「ヨーロッパ言語共通参照枠」と呼ばれています。発表された当時はCEFと呼ばれていましたが、それでは「絶対遵守すべきバイブルのようなもの」と誤解されることが多かったそうで、2005年ごろからはあくまでも現場の言語教育関係者が「参照Reference」するものであることを強調するためにRをつけて「CEFR(シーイーエフアールあるいは、セフアール)」と呼ばれています。これは、昨今耳にすることの多い欧州連合EU(ヨーロッパの政治・経済・軍事などの分野の問題を担当する組織)とは別組織である欧州評議会Council of Europe(文化・言語・人権等の分野担当)の言語政策部門が作成し発表したものです。ご存知の方も多いかもしれませんが、これからそのCEFRについて概略を説明いたします。
5 CEFRの特徴
CEFRは「共通性」と「透明性」を重視する方針を強調した、言語教育・言語学習の包括的なガイドで、ヨーロッパ統合をうまく進めるための言語教育政策の道具です。Can-do statements (CDS) と呼ばれる「能力記述文」で、「共通参照レベル」が記述されています。
「共通参照レベル」というのは、学習者を言語能力によってまず大きく3つに分けます(「A. 基礎段階の言語使用者」「B. 自立段階の言語使用者」「C. 熟達段階の言語使用者」)。そしてA, B, Cのそれぞれを上下に分けて、合計6つの段階に分けて考えようとします。それぞれの段階で言語を使ってどんなことができるかを記述したものが「能力記述文(CDS)」です。
CEFRを貫いているのは、言語学習は、文法や語彙などの言語知識を増やす事が目的ではなく、それを使って何か行動することが目的であるという「行動中心主義」に立っています。そしてそうする上で、「課題の遂行」を重視します。
また、広く人間の行う「言語活動の領域」を4つ(公的領域、私的領域、職場、教育環境)に分け、それぞれの領域で学習者一人一人が異なったレベルにいることを共通参照レベルを使って説明します。一人一人が、異なった目的を持ち、異なったレベルにあるので、そのような個人の「プロフィール」を大切にします。
またヨーロッパ域内において、教育や就職のために人々が移動することを促進する立場で言語教育を進めるために、学習の中断や不都合が起こらないようにする道具として「言語学習記録帳(ヨーロッパ言語ポートフォリオ European Language Portfolio)を学習者一人一人が持つことを奨励しています。そこに記載され集められた資料は、共通参照レベルの能力記述文で記載されているので、どこへ行っても通じます。
そこに記載される能力記述文は、従来の「初級文法の習得」といった目標や能力の記述ではなく、いつも肯定型(〜できる)で例えば「短い手紙を書くことができる」というように、目標言語を使って何ができるかと記載してあります。
以上のまとめとして、少し繰り返しになりますがCEFRの目指すものと、アセスメントの関連について述べておきます。CEFRの背景にあるのは、「複言語主義とヨーロッパ域内の人的交流の促進」「生涯教育としての言語教育・学習」「民主的ヨーロッパ市民アイデンティティの形成」という3点に絞れます。第1の「複言語主義とヨーロッパ域内の人的交流の促進」のために、共通の指標(CEFR)を使う事で、言語学習を促進し、一貫した評価ができます。第2の「生涯教育としての言語教育・学習」のためには、学習の中断を防ぎ、継続を容易にすることができ、どこでも同じ指標でテストすることが可能になります。もう一点、CEFRの考える言語学習は、「その言語の母語話者(ネイティブ・スピーカー)のようになること」を目標にはしていないという点が、新しいと思われます。学習者は、いくつかの言語を色々な具体的な目的のために学ぶけれども、それはその言語のネイティブになりたいわけではないということです。むしろ言語を使って何ができるかという具体的行動目標に注目しようとしています。
第3の「民主的ヨーロッパ市民アイデンティティの形成」は、89年にベルリンの壁が倒され、ソ連が崩壊した後、東欧諸国が欧州評議会に加盟することになったという歴史的、政治的な動きがありましたが、それら東欧の国々に対しても「民主的ヨーロッパ市民」の一員となって活躍できるよう、そのアイデンティティを醸成できるような支援をしています。そのための道具として「ヨーロッパ言語ポートフォリオ(ELP)」を作り、言語能力の自己評価チェックリストを普及させようとしています。それにより、ヨーロッパの統合を目指そうとしていると言う事ができるでしょう。
世界の言語教育の潮流といったことを見たい時に、ヨーロッパだけでは心もとないので、ここで目をアメリカ合衆国に転じて、CEFRとは異なるナショナル・スタンダード(NS)について違いを見ておきたいと思います。NSは、「全国学習基準」「学習スタンダーズ」「米国ナショナル・スタンダード」などと呼ばれています。
これはK-16 (幼稚園から大学まで) の外国語教育の理念を示したもので、カリキュラムデザインの道具ではないが、指針とすべきものとして推進されています。
NSでは、外国語学習には5Cと呼ばれる5つの側面が大切だと説き、視野を広く持って外国語教育が孤立しないよう、他教科や異文化、学校と地域の統合、ということに目配りしているのが特徴です。5Cというのは、コミュニケーションCommunication, 文化Culture, 連結Connection, 比較Comparison, 地域社会Community(訳は菅 2004による)の5つのCで始まる概念です。
NSは、学習者の到達度を直接的に論じるものではないし、またその名前からも明らかなように、これまで全国各地でバラバラでまとまりがなかったものに、全国標準の指針を与えて、異言語・異文化に寛容でコミュニケーション能力のある米国市民の育成を目指そうとしていると理解できます。全米の学校での標準的指針として、数学や科学など他教科でも作成されているようです。
これは、詳しく見ていただければおわかりいただけると思いますが、内容的にはあくまでもアメリカ人の子どもたちを想定して、アメリカの学校教育という現場で使う事を目指して作られたものですので、個人的な感想ですが、普遍性・共通性と言った点で、CEFRほどにはインパクトがないように思われます。
6 CEFRの実践例
それでは、私の話の最後に、ヨーロッパで作られたCEFRのインパクトと波及効果(Washback)を見る観点から、それが日本の言語教育の現場でどのように受け入れられ、実践に結びついているかについて、いくつかの事例をご紹介いたします。お手元の資料1をご覧ください。そこには13の事例を載せておきましたが、詳細はそれぞれの文献に当たっていただければと思います。特に興味深い取り組みがなされているのは、日本の高校生への韓国語教育と中国語教育の「学習のめやす」の作成にCEFRを参照したもの(これは「国際文化フォーラム」のホームページからダウンロードできます)と、私も関わった大阪大学外国語学部(旧大阪外国語大学)の25の専攻語プログラムにおいて、CEFRを参照した「到達度評価制度」を作ったという事例(真嶋 2007ほか)、そして国際交流基金が今年出された『JF日本語教育スタンダード2010』が挙げられます。
本日は日本語教育に関わっておられる先生方がお集りですので、これらの中でも『JFスタンダード2010』に目を向けておきたいと思います。この小冊子は、『ユーザーガイド』との2冊からなるもので、全文ホームページからダウンロードができるようになっています。これは「コミュニケーション能力を重視した日本語教育のための「考え方」「道具」」を示したものだとされていますが、その姿勢はCEFRを作った欧州評議会言語政策部門のものと大変良く似ています。
本日、別添資料として、「JFスタンダードの木」の頁だけ配布しておりますが、それは「各教育現場が多様な学習者のニーズや学習環境に応じて柔軟に活用できるツールであること」を目指したもので、この「木」の図を見ると、言語能力や言語学習がどのように捉えられているかがよくわかると思います。教員や学習者が、自分がやっていることが、全体のどこの部分に当たるのかの位置づけを理解するのに役立つと思われます。また、言語能力をこれまでの4技能(読み、聞き、書き、話す)でなく、「産出」「受容」「やりとり」と大きく3つにわけ、「産出」に話すこと全般と書くこと全般、「受容」に聞くこと全般と読むこと全般が入っていますが、「やりとり」に「口頭でのやりとり全般」と「文書でのやりとり全般」という分け方がなされています。これは同じ「話す能力」でも「表現(独話)」と「やりとり(対話)」を別の能力と分けるCEFRの考え方の影響を受けているように見受けられます。
評価については、学習成果の評価ツールとしての「ポートフォリオ」が挙げられますが、これは3つの構成要素からなるとされています。
・学習成果の評価ツールとしての「ポートフォリオ」
(1)評価表:自己評価チェックリスト+評価基準評価シート
(2)言語・文化的体験記録
(3)学習成果物:作文・レポート等、プロジェクト成果
さらに、「日本語能力試験Can-doリスト」はここから作成されると明言されています。そのまとめの公開が待たれるところですが、ここにおられるみなさまには、今後も目が離せないと思います。
最後に、日本語教育においても、従来の点数化するテストだけでなく「代替的アセスメント」と呼ばれる評価の考え方とその実践例が出てきております。少し自分の宣伝のようになって気が引けるのですが、『アセスメントと日本語教育』(佐藤・熊谷編 2010)で取り上げられた論考は、アメリカの実践が多いですが、「ピアラーニング」「ポートフォリオ」「ジャーナル・アプローチ」といった代替的アセスメントの例が挙がっています。そこに私もCEFR におけるアセスメントの話を書かせてもらいましたので、ご興味がおありでしたらご覧いただけると幸いです。
また、CEFRを日本の外国語教育の現場で応用しようとした実践例も含めた本が、来月下旬に出版されます。そこにも私の文章も載せてもらっていますが、CEFRで著名なイギリスのMike Byram先生をはじめ、日本の英語教育やドイツ語教育でご活躍の先生方の論考が多数掲載されていますので、ご紹介しておきたいと思います。(シュミット他編2010『日本と諸外国の言語教育におけるCan-Do評価 −ヨーロッパ言語教育参照枠(CEFR)の適用』朝日出版社)
いずれにしましても、これらヨーロッパの言語教育政策や、代替的アセスメントの試みは、発展途上の動きだと言えると思います。グローバル時代にあって、人的交流がかつてない勢いで盛んになっていますので、言語教育の評価やアセスメント、スタンダードの動きは、一国で完結してしまうことはすでになく、日本語教育だからと日本だけを見ていても全体の動きがつかめない状況になってきていると思います。今後もモンゴルの動きも気になりますし、お互い情報交換をしながら、より良い日本語教育実践ができると良いと思います。
ご清聴有難うございました。
<資料1> 日本でCEFRを言語教育に活用しようとしている事例
1)慶應義塾のAOPプロジェクト(境一三 2007ほか)
2)高校生への韓国語・中国語教育への「学習のめやす」の作成にCEFRを参照したもの(国際文化フォーラム2007)
3)茨城大学での英語教育の事例(阿野他2007)
4)成人外国人用『日本語ポートフォリオ』(青木2007)の開発
5)旧大阪外国語大学(現大阪大学外国語学部)におけるCEFR を参照した到達度評価制度(真嶋 2007ほか)
6)4)の大学の英語専攻の学部生に「セルフ・アセスメント・チェックリスト」を使って英語力を自己評価させたものの分析と活用(Smith 2009)
7)小学校を含む英語教育への提言(小池他科研 2008)
8)東京外国語大学の事例(根岸2006、2008ほか)
9)日本語学校からの考察(山本2008)
10)国士舘大学外国語部会で作成された『外国語ポートフォリオ』(国士舘大学 2009)
11) 日本語教育スタンダード構築の試み:『JF日本語スタンダード』国際交流基金 (2009)
12) フランス語教材への影響: 『パス・パルトゥ Passe-partout』(2009) F. Delbarre, A. Gras, 大木充著 駿河台出版社
13)ドイツ語教材への影響:『Und du? Sprechsituationen im Unterricht おしゃべりになれる授業のドイツ語』(2008) Bertlinde Voegel, Anja Hopf 著 大阪大学出版会 CEFR レベルA1に準拠
<参考文献>
青木直子 2006 『日本語ポートフォリオ改訂版』 <http://www.let.osaka-u.ac.jp/~naoko/jlp/> (2010年9月25日最終アクセス)
阿野幸一、ベッツロバート、福田浩子、永井典子、岡山陽子、佐々木美帆、上田敦子 2007「ヨーロッパ言語共通参照枠に基づく英語能力記述尺度:茨城大学総合英語プログラムにおけるケーススタディ」『人文コミュニケーション学科論集』2 pp.1-18. 茨城大学人文学部.
伊東祐郎 2005「これまでの評価/これからの評価」『AJALT アジャルト』No.28 社団法人国際日本語普及協会 pp.12-17
大阪外国語大学教育推進室語学教育ワーキンググループ(代表:林田理恵) 2006 『2005年度(平成17年度)学内特別研究費II活動成果報告書:語学教育における到達度評価制度確立のための調査・研究』 大阪外国語大学
大阪外国語大学国際シンポジウム実行委員会 2006 『文部科学省採択「平成17年度海外先進教育実践支援プロジェクト」 日欧国際シンポジウム:これからの外国語教育の方向性 —CEFRが拓く可能性を考える—』 シンポジウムパンフレット 大阪外国語大学
大阪外国語大学教育推進室(真嶋潤子・山崎直樹編) 2007『平成17年度文部科学省海外先進教育実践支援採択プロジェクト「国際標準・言語教育到達度評価制度の構築」成果報告書 I 日欧国際シンポジウム報告書:これからの外国語教育の方向性 —CEFRが拓く可能性を考える—』大阪外国語大学
大阪外国語大学教育推進室(真嶋潤子・山崎直樹編) 2007『平成17年度文部科学省海外先進教育実践支援採択プロジェクト「国際標準・言語教育到達度評価制度の構築」成果報告書 II 欧州高等教育機関の言語教育の現状』大阪外国語大学
菅 英昭 2004「アメリカにおけるK-12外国語教育の現状と展望」吉島茂、長谷川弘基編『外国語教育III −幼稚園・小学校篇−』朝日出版社 pp.85-97
小池生夫(代表)2008『第二言語習得研究を基盤とする小、中、高、大の連携をはかる英語教育の先導的基礎研究』科研最終報告書 明海大学
国際交流基金 2010a『JF日本語教育スタンダード2010』独立行政法人国際交流基金
国際交流基金 2010b『JF日本語教育スタンダード2010 利用者ガイドブック』独立行政法人国際交流基金
国際文化フォーラム 2007『高等学校の中国語と韓国朝鮮語学習のめやす(試行版)』財団法人国際文化フォーラム
国士舘大学外国語部会外国語学習支援プロジェクトチーム 2009『外国語ポートフォリオ』国士舘大学
国立国語研究所 2004 『世界の言語テストⅠ』平成15年度「日本語教育の学習環境と学習手段に関する調査研究」報告書
境 一三 2007「学術フロンティア推進事業「行動中心複言語学習プロジェクト」の課題と今後の活動について−−CEFRをモデルとした言語教育政策の研究を中心に−−」『慶應義塾外国語教育研究』No.4慶應義塾大学外国語教育センター pp.1-30
立花英裕、橘木芳徳、飯田年穂、北山研二、山崎吉朗、中野茂編著 2010『いかに21世紀の複言語能力を育てるか −中等教育における外国語−』朝日出版社
柴原智代 2007「各国のスタンダード作成の意義と日本の課題 –ヨーロッパ、米国、オーストラリア及び中国、韓国の比較・分析」『日本語教育紀要』第3号 国際交流基金 pp.114-122
友田舜三 2002「外国語学習課程における「到達目標の明示と到達度評価」の意義 -「言語のためのヨーロッパ共通基準枠」を参考にして-」大阪外国語大学語学教育研究会(代表:友田舜三)『多文化共存時代の言語教育(3) 平成13年度教育研究学内特別経費プロジェクト研究成果報告書』 大阪外国語大学 pp.23-40
根岸雅史 2006「CEFRの日本人外国語学習者への適用可能性の向上に向けて」根岸雅史・海野多絵・吉冨朝子(編)『言語情報学研究報告14 第二言語習得理論に基づく言語教育と評価モデル』pp.79-101
根岸雅史 2008「英語教育における最近の評価の動向」『日本語教育』136号 pp.49-58.日本語教育学会.
牧野成一・鎌田修・山内博之・齊藤眞理子・荻原稚佳子・伊藤とく美・池崎美代子・中島和子 2001『ACTFL-OPI入門』アルク
牧野成一・マグロイン花岡直美 2007「2006年度日本語教育国際研究大会討論会 –全国学習基準の3C:文化・連結・コミュニティー」『日本語教育』133号 日本語教育学会 pp.1-4
真嶋潤子(印刷中)「日本の言語教育における「欧州言語共通参照枠(CEFR)」と「能力記述(Can-Do statement)」の影響 −応用可能性に関する一考察−」『日本と諸外国の言語教育におけるCan-Do評価 −欧州言語共通参照枠(CEFR)の適用−』JALT(日本外国語教師協会)FLPsig編 朝日出版社
真嶋潤子 2010「第2章 CEFRにおける評価とアセスメント」佐藤慎司・熊谷由理編 『アセスメントと日本語教育−新しい評価の理論と実践−』くろしお出版pp.19-43
真嶋潤子 2008「ヨーロッパにおける移民への言語施策とCommon European Framework of Reference for Languages (CEFR)に基づく自国語教育 −フランス・デンマーク・イギリス・ドイツ・オランダ・オーストリア・アイルランドとカナダのケベック州を中心に−」『平成19年度文化庁委嘱事業 生活者としての外国人のためのモジュール型カリキュラムの開発と学習ツールの作成』コミュニカ学院発行 pp.75-91
真嶋潤子 2007「言語教育における到達度評価制度に向けてーCEFRを利用した大阪外国語大学の試み」『間谷論集』(大阪外国語大学日本語日本文化教育研究会)第1号 pp.3-27
真嶋潤子 2006「ヨーロッパ言語共通参照枠(CEF)と言語教育現場の関連づけの一研究 —ある日本語コースの質的研究—」 『ヨーロッパ日本語教育10 2005日本語教育シンポジウム 報告・発表論文集』 ヨーロッパ日本語教師会 pp.177-182
真嶋潤子 2005a 「ドイツ出張報告 —ドイツにおけるCEF導入状況に関する予備調査」『平成16年度学内特別研究費II活動成果報告書 —語学教育における到達度評価策定のための基礎研究』大阪外国語大学 教育推進室 語学教育ワーキンググループ pp.63-66
真嶋潤子 2005b 「ヨーロッパ言語共通参照枠(CEF)受入状況の一研究 —ドイツの言語教育機関における聞き取り調査より—」『日本語講座年報2005』 大阪外国語大学日本語講座
松尾馨,濱田朱美 2006「外国語の学習、教授、評価のためのヨーロッパ共通参照枠(CEF)の日本語教育における活用-ドイツ・ベルリン州の中等教育日本語ガイドラインの例-」『世界の日本語教育』,16,pp.155-168.
山本弘子 2008 「日本語学校から見た評価の観点の見直し −ヨーロッパ共通参照枠の視点から(特集:教育現場から問い直す『評価』)」『日本語教育』136号 pp.38-48.日本語教育学会.
ヨーロッパ日本語教師会(AJE)2005『日本語教育国別事情調査:ヨーロッパにおける日本語教育とCommon European Framework of Reference for Languages』 国際交流基金
吉島茂、大橋理枝(訳・編)2004『外国語教育II –外国語の学習、教授、評価のためのヨーロッパ共通参照枠』朝日出版社
吉島茂、長谷川弘基編 2004『外国語教育III −幼稚園・小学校篇−』朝日出版社
鷲巣由美子 2009 「国士舘大学における到達レベルと外国語ポートフォリオ−ヨーロッパの言語共通参照枠(CEFR)とポートフォリオ(ELP)を参考にして」『外国語外国文化研究』第19号 国士舘大学外国語外国文化研究会 pp.1-28
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Byram, M. 2008 "A Common European Framework of Reference: learning teaching assessment OR a (taxonomic) Model of Learning Teaching and Assessment to which to refer?" 言語政策学会第10回大会シンポジウム「Common European Framework of Reference for Languages (CEFR) と 日本での応用可能性?」予稿集(2008年11月8日於:奈良教育大学)
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<関連URL> (2010年10月7日最終アクセス)
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・ ELPヨーロッパ言語ポートフォリオに関する説明: CEのサイト (http://www.coe.int/t/dg4/portfolio/Default.asp?L=E&M=/main_pages/welcome.html)
・ 国際交流基金の報告書(http://www.jpf.go.jp/j/japan_j/publish/euro/pdf/01-4.pdf)
・「JF日本語教育スタンダード」のサイト (http://jfstandard.jp)
・「みんなの「Can-do」サイト」 (http://jfstandard.jp/cando)
・ CEFR関連:CoEサイト (http://www.coe.int/t/dg4/linguistic/CADRE_EN.asp)
・ 米国NS 関連:ACTFLサイト (http://www.actfl.org/i4a/pages/index.cfm?pageid=3392)