2016年6月17日(金)午後 於:兵庫県立のじぎく会館ふれあいホール
兵庫県教育委員会事務局人権教育課主催の外国人児童生徒への日本語指導に関する協議会と研修会に招かれて、行ってきました。
**********************
13:00~14:15 H28年度第1回日本語指導支援推進校事業連絡協議会
14:30~16:45 H28年度日本語指導支援員等研修会
講演:真嶋潤子「日本語能力を踏まえた「取り出し」による日本語指導について −子どもの成長全体を取り巻く大人の協働−」
グループ協議+グループ発表+総括助言
三木市、芦屋市、姫路市教育委員会より各一名 計3名
日本語指導支援員派遣校日本語指導担当教員等 計11名
日本語指導支援員 計17名
関係教育事務所(阪神、播磨東、播磨西教育事務所) 計3名
事務局 計5名
************************
講演の内容は、2日前(6月15日)に大阪府下のある市教委指導主事と、外国人児童生徒への日本語指導の目指す方向や考え方がわからないという相談を受けて長く話したことからヒントを得て、手を加えて再編成しました。そのために兵庫県教委の担当者さんには資料作成が前日ギリギリになり、ご迷惑をおかけしてしまいました。
でも、終わってから、話が良かった旨のコメントをいただいたので、何とかお仕事はこなせたかなとホッとしました。
日本語指導が必要な児童生徒の日本語力を評価するためのツールDLA(「外国人児童生徒のためのJSL対話型アセスメント」文科省2014)について特にその6つのステージの説明を中心にしました。また兵庫県で以前に作成された「日本語習得度チェックリスト(試案)」と比較して違いや特徴を含めて説明しました。
DLAを使って子どもの日本語のステージがわかれば、ステージ1~4ではまだまだ日本語支援特に取り出し(抽出)が必要です。ステージ5や6になれば、在籍学級で自律的に学ぶことが中心になり、支援は減らしても大丈夫だと考えられます。DLAの結果から子どもの日本語能力を踏まえた指導計画書を作成し、それをもとに指導を実施し、記録を残していくことができます。それを、同じく2014年に文科省が実施することにした「特別の教育課程」の枠組みを活用するために、予算要求する際にも活用できます。
支援者の方々には、特に「言語は音声から」「聞ける→話せる→読める→書ける」の順序で指導してほしい旨を強調しました。というのも、日本語ゼロの子どもに「まずアイウエオの指導から」と言って書かせている先生を見たことがあるからです。(その先生は「子どもが日本語を話してくれない」と嘆いていました。)
また、いわゆる生活言語ができるようになった子どもたちには、(できれば母語による)予習先行型の支援を、在籍学級や通訳母語支援者と連携して行うと良いという話、また(直接教科学習のために教科書を読むだけでなく)「急がば回れ」で「多読プログラム」を行って子どもたちを「読書好き」に育てた大阪の成功事例を紹介しました。担当者一人で抱え込まず、「DLA評価会」「ケース会議」を、特に散在地区で行って知恵を出し合い、子どもを多面的に捉えながら指導していくことで成功している例も紹介しました。
日本語指導員の方、管理職や日本語担当の先生方、また市教委指導主事の方々にとっても、私の話が何らかの参考になれば嬉しいです。関係者は色々な制約のある中で、ご自身の指導がそれで良いのか不安を抱きながら工夫しておられ、大変だと思いますが、もっと大変なのは母語も忘れないようにしながら日本語習得だけでなく日本での生活全般に適応しようとして努力している子どもたち自身の方です。少しでも力になってあげて、「何も無くさない日本語教育」(母語剥ぎ取り型でないJSL)ができればありがたいです。