真嶋潤子の最近の活動

   ←戻る
 
ドイツの移民・難民庁に行って統合コースの情報を得てきました
 
2022年10月15日 
 ドイツ南部のNürnberg ニュルンベルクにあるドイツの移民・難民庁本部(BAMF: Bundesamt für Migration und Flüchtlinge)を訪問した。その日は「オープン・ハウス」で、一般人の見学者を受け入れて、多くのブースや報告会、展示会などが開催された。その情報を数日前にたまたま入手した私は、年に一度の機会なので、普段はアポを取って面会するのも難しいBAMFに直接情報収集に行けることに大喜びで、慌てて旅行の準備をした。今回も調査協力者・共同研究者でもある夫に同行してもらうことにし、準備も手分けして行なった。
 まずBAMFのHPで、できるだけたくさんの情報を入手し、特に言語教育、移民統合教育については文献を収集し、読むようにしていた。どれくらいの人出があるのか皆目わからなかったので、開場してすぐに入れるように、早めに到着した。前日から、ケルンからニュールンベルクに鉄道で移動し、BAMFまで徒歩で行ける民泊ホテルに泊まった。
 調査とは直接関係がないが、BAMFが置かれている建物は、1937-39 にナチスの領土拡張政策の本拠となった有名な建物である。第二次世界大戦時に壊されることなく、当時の威容を誇る大きな建物であった。
BAMFの組織についてはここ→
 さて手荷物検査を受けた後は、建物の1階と2階の会場に自由に出入りができる。1階ロビーと2階ホールには、BAMF全体や、移民に関するNPOなどの組織等のブースが並んでいる。2階の広いホールには、BAMFの複数の部署が出しているブースがあり、「移民のための統合言語プログラム」に関するブースはそこにあった。教材展示と、プログラム全体像、担当者がいて質問に答えてくれる。
 私は厚かましく、そこで準備していた質問を次々と投げかけて、丁寧に答えてもらうことができた。しかしそのうちに私の後ろに長い列ができ始めたので、一旦切り上げた。
私の最後の質問として、「移民統合政策は失敗したという声があるけれども、どう思うか?成功していると思うか?」という意地悪なことを尋ねた。その答えは、「この仕事には「コースが成功しました!」完了しました、ということはなく、状況(事態)はどんどん変化しているので、常時それに対応していかないといけないという宿命のようなものがある。我々の仕事は、変化する状況に対応していくだけだ。」と粛々と業務を遂行する専門家の姿勢だと思った。終わりのない仕事である。しかし「失敗だ」と批判を受けても、それで終わるわけではない。失敗の原因究明とその改善を常に行なっている。その成果が少しずつ現れていると思った。
 BAMFの玄関では、ホームページやこのような催しなどで使われる動画の撮影現場もあった。(そこで録画されていたのは、BAMFの様々な職種についている職員の「自己紹介と仕事への抱負など」を語るものであった。2階で編集済みの動画を視聴することができた。老若男女で、どの人も仕事に誇りを持っていることが示されている。「大変熱心に移民の受け入れのための仕事に従事している」ことがアピールされている。いくつかの講演会があったので、一つに出てみた。タイトルから想像した内容とはかなり違っていて、これは残念ながら期待外れであった。
 最後に、BAMF所長からの説明があった。参加者20名ほどは所長室(横の応接室)に通され、直接話を聞くことができた。また質疑も受けてもらえた。
 
BAMF訪問その他で得た情報を元にまとめたものを国際研究集会で発表しました。
発表スライドはこちら→


BAMFの写真(撮影:真嶋潤子)