「事実婚」をテーマにした授業の試み
---授業の構築と学生の意識調査の報告---
真 嶋 潤 子
はじめに
本年度(1996年度)の本学の女性学リレー講義において、初めて1時間担当する機会に恵まれた。扱うのが難しいとも思ったが、「事実婚」を取り上げることにした。「事実婚」というのは、「自分たちの主体的な意思で婚姻の届出をしない二人の共同生活」(二宮 1991)である。これを取り上げた理由はひとつに、それまでの講義では一度も扱われたことがないテーマであり、二つ目に、自分が今までずっと自身の問題として模索してきた「結婚のありかた」「ライフ・スタイル」「人生観」「価値観」すべてに関わるキーワードであるからである。私自身、パートナーとは「事実婚」を宣言して9年になる。
「事実婚」というと世間的には非常な少数派であり、非難する向きもあるだろう。私自身、「模範解答」はこれだというように学生に提示できるものを持っているわけでもない。また、内容的に、自分のプライベートな部分に踏み込んで大勢の学生の前で示さざるを得ないことへのためらいもあった。しかし、私が彼等の年齢の頃からずっと悩み、考え、模索してきた「生き方」に関わる問題というのは、ある程度共有できるのではないか、そして率直に話せば学生の理解も得られるかもしれないと希望を持つことにした。望むらくは、同じ様な問題意識を持って悩んでいる学生への参考になれば幸いだと考えた。
斯くして、11月21日に講義を終え、130余名の学生達から予想をはるかに超える確かな手応えを得て、大変励まされた。自分の生き方に理解を得るどころか、否定される可能性もあると懸念していたので、「案ずるより産むが安し」とは良く言ったものだと、先人の教えを感謝しながらかみしめた。
本稿では、この授業の概略と、授業中に行った学生の意識調査結果について報告し、考察する。
1. 授業の目標
この授業の第一の目標は、学生に多様なライフ・スタイルとその中の選択肢のひとつである「事実婚」への理解を促すことであり、そこから、「常識」的な「固定観念」や偏見を持っているようであればそれを相対化する手助けをすることを第二の目標とした。
もうひとつこの授業の機会を捉えて、「事実婚」ならびにその他のライフ・スタイルについての学生の意識に関する調査をして、先行研究における一般社会の意識調査結果(前掲書)と比較することを目指した。最近の学生であるから意識は許容範囲が広く、柔軟な考えをするのではないかと予測した。
2. 授業に際しての留意点
このテーマで授業をするのは初めてのことであり、デリケートな問題であるだけに、起こりうる様々な誤解や軋轢をさけるために留意した点は以下の通りである。
・自分の体験と他人の意見(主に本からの引用)のバランスをよくすることによって、
具体性と客観性を持たせること。
・事実婚を奨励する姿勢で話さないこと。
・事実婚以外のライフ・スタイルを感情的に非難、中傷しないこと。
・様々なライフ・スタイルの特徴に批判すべき点があっても、その生き方をしている人の 個人攻撃にならないようにすること。
・現実社会の問題点を嘆くだけの「恨み節」にならないようにし、建設的かつ肯定的な終 り方をすること。
・深刻な問題を含むだけに、ユーモアを交えて楽しく語ること。
これらの点にどれ程うまく留意しながら話せるかに、授業の正否がかかっているような気がしていた。授業は一種のかけでもある真剣勝負だと思った。というのも、自分の価値観、人生観までさらけ出しておいて、学生に理解されなかった場合を想像すると、自分でも不安であったからである。そのような危険性をはらんでいるだけに、上記の点に細心の注意を払いながら、授業内容を組み立てた。
3. 授業の内容
3.1. 多様化する生き方
現代の日本では多くの人々が特に真剣に考えるまでもなく当然のように「婚姻届」を出し「法律婚」をしている。しかし授業では、図に示すように「法律婚(婚姻)」をする他に、「事実婚カップル」「非婚カップル」「同性カップル」「シングル」という生き方の選択肢が可能であることをまず示した。
まず形態的に、二人で生活するか、一人で生きるかで分けられる。シングルの場合も一生全く一人で生きる場合と、子供を持つ単親家庭を形成する場合がある。
二人で生きることにする場合、異性二人と同性二人の場合がある。同性カップルについては、諸外国を始め、日本でも少しずつその存在や権利が認められてきているように見受けられる。
異性カップルの場合、最も多い法律婚とそうでないカップルがあるが、後者をさらに事実婚カップルと非婚カップルに分けるというのが最近の考え方である。法律婚は、役所に「婚姻届」を提出して受理された者である。「事実婚」と「非婚」の違いは、「事実婚」が、「婚姻届」を出していないという点を除けば「法律婚」と何ら違いがなく、意識の上でも「結婚している」と考えているのに対し、「非婚」者は、「結婚」という概念そのものに反対するか否定的であり、意識の上ではシングルに近いということである。
さらに、上に示すように、事実婚カップルで同居している二人は、いわゆる「同棲」「内縁」と表現されることもあるが、その言葉のもつ「暗いイメージ」「否定的なイメージ」「差別につながるイメージ」はいまだ否めないだろう。それに抗議する意味もこめて「意識的な内縁」(石川 1989)と呼ぶ動きも出ている。
また事実婚で、普段の生活は原則的に別居の場合はフランスでも増えてきているそうであるが(浅野 1995)、「LAT」と呼ばれているということも紹介した。
最近は、日本でも「非婚」への理解を広く求めようとする動きも目につくようになってきた(坂元 1996、森永 1997)。いずれにしても、現代の日本においては、以上のような多様なライフスタイルの選択が可能であることを指摘し、今回のテーマである事実婚と全体との位置関係を示した。
3.2. 「法律婚」いわゆる「結婚」への疑問
大多数の日本人が当然のようにしている「法律婚」であるが、どうしてそうするのか、普段「当然」だと思っていることを検証する目的で疑問をぶつけてみた。
a・法律婚をしていると「夫婦の一体感」が得られるのか。
b・法律婚をすると愛情が深まるのか。
c・法律婚をしないと子供がかわいそうか。
d・昔からそうすることになっているのか。
e・世間体や体面のためにするのか。
f・法律婚をしていると夫婦だとわかりやすいからするのか。
g・結婚は女性にとって経済保障(「永久就職」)だからするのか。
これらの点は、私の周りで結婚している人が言ったことや、活字媒体に見られることのほか、私達に法律婚をするよう説得しようとした親の口から出たものもある。授業では、なるべく受講生自身が考えるように、それぞれの点を指摘するにとどめた。c.やd.については、後でも出てくるのでここではあまり深めなかった。ただ
f についてのみ、夫婦別姓の観点から論じられている意見を紹介した。
夫婦別氏では、夫婦の識別に不便であるとの意見がある。
だが、夫婦関係は私的事柄であって、対外的に識別しやすいかどうかにこだわる必要はない。夫婦か否かの識別に対する関心は、他人のプライバシーに対する好奇心にすぎないのである。(日弁連 1994:52)
3.3. 「事実婚」のメリットとデメリット
事実婚を選択する人々には色々な理由がある。先行研究(二宮1990、1991、吉積1993、日弁連1994 他)で多くのケースを調べているが、まずメリットをまとめると以下のようになる。
1)自立した生き方を選択する充実感を得る
2)対等の「いい関係」を持ち、誠実なパートナーシップを持つ
3)夫婦別姓がもれなくついてくる
4)婚姻制度にまつわる差別に関して、差別する側に立たないことによって差別から解放される
逆に、事実婚を選択することによって被る不利益もある。
1)税制上の保護がない
専業主婦の妻のいる夫は、扶養家族がいるということで税金の控除があり、扶養家族手当ももらえるが、国家に届け出をしていない「事実婚」の場合はそれはない。
2)相続税が必要
例えば夫が死亡した時、法律婚の妻は遺産相続に際して相続税はいらないのに対して、事実婚の場合は、必要であること。
3)非嫡出子差別
民法900条は「嫡出でない子の相続分は、嫡出である子の2分の1とし」と規定し、非嫡出子の法定相続分について、嫡出子の2分の1と定めている。「非嫡出子」から見れば、親を選んで産まれてきたわけではないので、自分の責任でないことに関して不利益を被るというわけで、人権侵害だととらえられても仕方がないであろう。
これは、裁判でも判決が分かれている問題であるが、日本弁護士連合会(前掲書)もその違憲性・違法性を取り上げている。東京高等裁判所では1993年に「非嫡出子差別」は憲法14条の「法の下の平等」に違反しているという判断を示したが、1995年の最高裁大法廷の判決では、10対5で合憲である。これは興味深い判決であって、合憲という結果であっても1/3の最高裁判事が違憲だと考えているわけで、変化の兆しが垣間見えているとも捉えられる。
またこの他に、戸籍の記載に際して、嫡出子と非嫡出子では異なった表示方法がとられていることも、問題になっている。このように戸籍法・民法など法律に問題があるということへの抗議も含めて、現在弁護士で事実婚の人がかなりいるという事実を紹介した。
授業では、上記のようなデメリットが色々あっても、あえて事実婚を選択しているカップルの人生肯定的な声を2、3紹介した(坂元 1996、二宮 1996)。
3.4. 「婚姻制度」の歴史的経緯
ここでは、「法律婚」が絶対的なものでも「昔からこういうもの」であったのでもないことを歴史的に概観した。
明治憲法下で、富国強兵の国家方針のために家制度と男尊女卑の考え方が利用された。戦後の新憲法下では、建て前としては家制度を採用しなかったが、資本主義経済システムの中に「性別役割分担」というかたちで、「核家族」と「専業主婦」が組み込まれた。それによって「企業戦士」を安定供給し、企業がそして社会が経済発展の道を歩んで来たのである。
このような役割分担を自分の使命として喜んで受け入れ、充実した人生を送った人々も多いであろうし、そのような人々によって日本の高度経済成長が実現し、現在の繁栄が築かれたことを思えば、我々はむげに非難・否定できる立場にはない。しかしながら、戦後半世紀を越え、このような「性別役割分担」に異を唱え新たな男女の生き方を模索する人々が出てきてもおかしいことではないし、社会全体がこれまでと違ったライフ・スタイルを選ぶ人々に寛容になっていけるのではないか、という問題提起をした。
大勢の先駆的な人々の努力により、日本社会は徐々に変化の兆しを見せてきている。それは非嫡出子の人権の保障という点にも現われている。住民票の記載について、嫡出子は「長男」「長女」「二男」「二女」と記載されるのに対し、非嫡出子の場合は「子」とのみ記載されていたが、1995年3月から全員「子」と記載されるようになった。
またそれまで有責配偶者(破綻の原因を作った側)の離婚請求はできなかったが、1987年に最高裁はこれを変更し、条件付きながらこれを認める判決を下した。これで、婚姻関係が長年(1990年の判例で七年半)の別居のように破綻している場合、理由のいかんにかかわらず離婚を認めるということで、「結婚は永久就職」と信じていても「倒産」することがあることが「常識」になっていくかもしれないという指摘を行った。
この「破綻主義」への移行は、欧米では1960年代から70年代にかけて行われたことである。このほかにも諸外国の婚姻制度やライフ・スタイルの状況については、参考になることも多いが、今回は時間的制約もありほとんど触れなかった。
3.5. 「事実婚」の条件
事実婚は現在の日本ではマイノリティーであり、様々な困難が伴う。それを選択する場合、うまくいくためには次のような条件が必要であろうと指摘した。
1)二人の経済的自立
経済的に依存している場合は絶対不可能だという風には言い切れないが、依存しているとそのために対等な関係になりにくいのは当然であろう。
2)問題関心の共通性
世間的に常識とされてきた法律婚に異を唱えるためには、社会的関心、積極的に自分のライフ・スタイルを選択しようとする問題意識など、共有できる相手とでないと難しいであろう。
3)信頼と愛情の実質を重視する人格
形式の方を重視する人には当然できないことであり、無意味に見えるかもしれない。しかし、信頼も愛情も色あせて形骸化してしまっても法律婚を続けるカップルが多いことを思うと、婚姻届に頼らない分、純粋に信頼や愛情が求められるとも言える。
3.6. 遠距離恋愛の秘訣
私は事実婚をしているが、互いの仕事や勉強の関係で今まで別居してきた期間が長い。その体験から、授業の最後に、付録として「遠距離恋愛の秘訣」について、「独善的だが」と断わって話した。これについては、ユーモアを交えて話せる自信があったので、明るく授業を終えるために準備しておいたものである。
・こまめに連絡する。(ハイテク、ローテクあらゆる手段で)
・相手を喜ばせたりびっくりさせたりする「たくらみ」をする。
・二人で楽しめる遊びを持つ。
・次に会う機会を楽しみに待つ。(「もう会えない」でなく「また会える」)
・何かあれば、即刻かけつけられる気持ちとお金の準備をしておく。
・見返りを要求しない。(長距離電話をしているのは自分がしたいからである。相手も同じだけ努力や支払 いをすべきだと思うと自分の精神的負担が大きくなる。)
・愚痴を言わない。
「私ばっかり...している。」「あなたは...してくれない。」と言うのは破壊的である。
・一緒にいる時を楽しむ。
・次に会う時のために、日頃から準備しておく。
1)自分を磨く。(内も外も)
2)面白い話題を選んでおく。
3)料理の腕をあげておく。
・相手の存在に感謝する。
・感情をことばで伝える。
・第三者の意見に惑わされない。(自分達以上に自分達のことがわかっている人はいない。)
しかし、本は読む。
結論:「自己の良心に従って行動し、結果については責任を持つ。」
以上の流れで授業を行った。そして最後に受講生に意識調査への協力を依頼した。
4. 意識調査
4.1. 社会意識調査
先行研究の二宮(1990)に、事実婚に関するいくつかの調査結果が挙げられている。(pp.239-255)いずれも1986年の調査である。
・総理府「家族・家庭に関する世論調査」
「戸籍を入れない同居」について
賛成4.6%、反対80.8%、一概に言えない10.9%、わからない3.7%
・経済企画庁「女性の生き方」に関する調査(東京と富山で調査)
「届け出のない結婚はよくない」
そう思う74.2%、そう思わない19.2%
・時事通信社の時事世論調査「家庭生活に関する考え方」
「戸籍を入れぬ結婚」
認める24.4%、認めない69.0%、わからない6.7%
・東京都の「都市生活に関する世論調査」
「入籍をしないで、男女が一緒に暮らしていく生き方があってもよいと思う」
そう思う49.4%、そう思わない43.3%、わからない7.4%
二宮(前掲書 p.250)も指摘しているように、質問や回答肢の表現によって、評価に差が出ている。自分を含めての生活規範を尋ねるような「賛成か反対か」という質問から、「認める・認めない」や「生き方があってもよいと思うか」という他人の自由を認めるという方向性を尋ねる質問へと広がるにつれ、寛容度が高くなるのは常識的な判断と合致すると言えよう。
二宮(前掲書)ではさらに、寛容な意識の高い層に着目し、「年代では20代、性別では女性、婚姻状況別では未婚、地域別では大都市で、事実婚について寛容度が高い」(p.251)と述べている。これを受けて、本学の学生の意識と比較しようと思ったわけである。
4.2. 学生への意識調査
4.2.1. 調査方法
講義に出席した130余名の学生に、授業の最後の5分程度でアンケート調査に協力してもらった。調査は<資料1>に添付した3つの項目から成る。
まず「1. 多様化するライフ・スタイルに関して、あなたの今の意見に相当するものに○をつけてください。」という最初の部分で、5つの違ったライフ・スタイルに対してどういう感覚で受け止めているのか、選択肢を「無視 反対 放任 容認 理解 支持」の6種類にして、選んでもらった。これは二宮(1990)で報告されている意識調査を参考にして作成した。
この調査結果は私の意見を講義の中で聞いた後なので、バイアスが掛かっていることを差し引いて読み取らねばならない。私の意見に単純に影響を受けたり、中には私の意見におもねるような反応をする者もいたかもしれない。これは、次の2.と3.の回答を見れば、ある程度判断できるのではないかと考えた。
1.で、それぞれのライフ・スタイルについての客観的または一般的な反応を尋ねたが、次の「2. あなた自身はどんなライフ・スタイルを選択したいと思っていますか。よかったら教えてください。」という部分で、自分自身のこととしてどう考えているかを調査した。1.でたとえ法律婚以外を、「容認/理解/支持」しても、実際に自分の問題となると、保守化の方向にずれるのではないかと予測した。
アンケートの最後に「3. 今日の講義について、感想・意見・質問があれば、自由に述べて下さい。今後の参考に致します。」として、言いたいことがあった場合の受け皿を作った。
4.2.2. 被調査者
調査に協力してくれたのは、講義に出席した132名の学生である。その内訳は、次の通りである。
学部学生 | 1年生 | 2年生 | 3年生 | 4年生以上 | 計(人) |
男性 |
8 |
2 |
1 |
0 |
11 |
女性 |
71 |
25 |
15 |
10 |
121 |
計 |
79 |
27 |
16 |
10 |
132 |
表1 被調査者内訳 (「4年生以上」には、院生と聴講生も含んでいる。)
この内訳を見てもわかるとおり、79人(59.8%)が学部1年生である。そして、121人(91.6%)が女性である。従って全体的に見れば、この調査結果は、都市部(大阪府下の大学)における学部1年生(18歳から20歳位)の女子学生を中心にしたものだと言える。
4.2.3. 調査結果
無視 | 反対 | 放任 | 容認 | 理解 | 支持 | その他 | 人数(%) | |
法律婚 |
2(1.5) |
2(1.5) |
8(6) |
20(15.2) |
58(44) |
40(30.3) |
2(1.5) |
132(100) |
事実婚 |
1(0.75) |
1(0.75) |
7(5.3) |
20(15.2) |
59(44.7) |
41(31.1) |
3(2.2) |
132(100) |
非婚カップル |
0 |
6(4.5) |
24(18.2) |
36(27.3) |
45(34.1) |
19(14.4) |
2(1.5) |
132(100) |
一生独身 |
0 |
2(1.5) |
17(12.9) |
36(27.3) |
46(34.8) |
29(22) |
2(1.5) |
132(100) |
同性カップル |
2(1.5) |
4(3) |
39(29.5) |
35(26.5) |
35(26.5) |
13(9.8) |
4(3) |
132(100) |
5つのライフ・スタイルについての意識調査の結果は、表2のようになった。まずここでわかることは、事実婚を支持する学生が僅差ながら最も多いことであり、続いて法律婚、一生独身、非婚カップル、同性カップルの順に支持者が減っている。法律婚と事実婚はほぼ同様の傾向を示している。わずかに事実婚のほうが多いとは言え、「理解」と「支持」を合わせるとどちらも7割以上になる。前述の社会意識調査の結果と比較すると、明らかに今回の大学生が事実婚を支持していることがわかる。
最もリベラルな結果の出た1986年の東京都の調査では、「入籍をしないで、男女が一
緒に暮らしていく生き方があってもよいと思う」という項目について、「そう思う」が49.4%、「そう思わない」が43.3%であった。今回の調査において「そう思う」に相当するのが「容認」「理解」「支持」の合計だとすると、「事実婚」に関しては91%の高率である。「放任」も入れると、96.3%にもなる。授業の内容に大きく影響されたと考えるのが自然であろう。実際学生のコメントにも、「この講義を聞く前は事実婚などは絶対反対だったと思う。でも今は『そういう生き方もいいな』と思うようになりました。」といった感想が見られた。講義の前と後で彼等の意識がどう変化したかを調査したら、もっと実態に迫ることができたであろう。次回の課題にしたい。
結果をグラフにしたものが下図である。これを見ると明らかなように、「法律婚」と「事実婚」がほぼ重なり合ったような分布であり、「非婚カップル」と「一生独身」の二つがよく似た分布をしている。「同性カップル」のみがやや否定的な方に山ができており、異質な分布を示している。
これの示唆することは、学生の意識としては、「法律婚と事実婚」並びに「非婚カップルと一生独身」のそれぞれは、実質的に同様のものであるという受け取り方を表わしているのかもしれないということである。実際、前者の二つは男女が共同生活をしていく生き方であり、婚姻届以外はさしたる違いはないと捉えることもできよう。また、後者は二人でいることよりも、あくまでも一人一人が中心になることが大切だという点において、共通した捉え方ができるのかもしれない。最後の「同性カップル」については、「私には関係ない」という「放任」を選んだ人が最も多いのが特徴である。
いずれのライフ・スタイルについても、「無視」や「反対」を選んだ人が一様に少ないことも見逃せない。これは、多様なライフ・スタイルへの寛容度が高い人が多いことを示すと考えられるので、「常識」的な「固定観念」を相対化するという今回の授業の目標の一つに合致する。
調査の2.と3.の結果については、132人全員が何らかのコメントを書いてくれた。そのうちのかなり典型的な3例を次に示しておく。
例1:他人には寛容、自分自身はやや保守的な例
(1年)
2. 私としてはおそらく法律婚を選ぶと思う。やっぱり固定観念からかもしれないけれど書類を出してはじめて、結婚したという気がするからです。でも、事実婚や非婚カップルというのもお互いがそのスタイルがベストだと思うのならそれもOKだと思う。
3. (中略)法律で認められた結婚でなくても、お互いで一番いい形の結婚を見つけることが大切だと思った。
例2:授業の影響を強く受けた例
(1年)
2. 私自身は事実婚をしたいと思っています。
お互いに自立した生き方や意思を持てると思うし、先生がおっしゃった様にいつも新鮮でいられるとも思います。紙切れ一枚を出すことで、夫婦の一体感が生まれるとも愛情が深まるとも思えれません。結婚についての考え方はそれぞれ自由だと思うし、無理に婚姻届をださなくてもお互いの最高のパートナーになれたらそれが一番いい結婚だと思います。でもだからといって法律婚に反対なわけではないし、それはそれで幸せだとも思います。
例3:その時になってみないとわからないと言う例
(1年)
2. その時の状況で、法律婚になってもいいし、事実婚でも非婚カップルでもいいと思う。(一生独身はちょっと寂しいケド...。)とにかくお互いの気持ちが分かりあっていればそれでいいと思うし、それが1番大事なことだと思うから、その時の状況で自分達にとって1番良い方法を選択していくと思う。
この他の代表的な意見を稿末に<資料2>として添付する。この自由記述方式で得たデータを見ると、特徴的には次のようなタイプが浮かんでくる。
a. 優等生タイプ:とにかく人から非難を受けるようなことはしたくない。
現行の法律は遵守すべきだ。
b. 親の意見に従うタイプ:「法律婚が無難である。」
c. 要領タイプ:法律婚で法的な庇護の元に「夫のスネはできるだけかじって」、事実婚の条件の一つの「互いの自立した関係」を求めようとする。一番楽でおいしいものが欲しい。
d. 五里霧中タイプ:混乱している。「何が良いのかわからなくなった。」
e. 洗脳されやすいタイプ:「事実婚ってすばらしいですね。」
f. 正義派タイプ:「社会をより住みやすくしていきたい。」
g. 仕事先決タイプ:「今はライフ・スタイルのことよりも、どんな職業につけるかが問題です。」
h. 投げやりタイプ:「どうでもいいじゃないですか、そんなこと。」「女はめんどうだ。」
これらは必ずしも明確に分かれるものではなく、一人の学生の中にいくつかの意見が混在する場合も多かったので、数量的に分析することは避ける。ただ傾向としては、意識調査の前半で、色々なライフ・スタイルを認めはしても、いざ自分のこととなると、「親の意見に従う」者、「わからない」者がかなり多く、最初の予想通りやや保守的になるように見受けられた。
学部1年生を中心とした今回の受講生は、意識調査の結果から見る限り、非常にナイーブで影響を受け易く、柔軟な考えを持っているものの、現実的な問題として捉え切れていないという印象を受けた。人数は少ないものの、学年が上になるほど、戸惑い、困惑しながらも自分の問題として真剣に捉えている様子が見られた。ごく少数ではあったが、h.
のタイプのように後ろ向きの姿勢の者もいたので気になった。
5. 今後の課題
授業中の学生の態度やアンケートの記述から判断すると、今回の私のメッセージは、事実婚と多様なライフ・スタイルへの理解という点においては、大多数の学生に届いたようである。「もっと知りたい」とか「これからゆっくり考えていきたい」というコメントには希望が持てる。当初の授業の目的はほぼ達成できたと評価している。
ただ、気になったのは、「自分の好きなように生きていきたい」とか「自分の人生だから、自分のやりたいことをやって充実したものにしたい」というような、「好きなこと」を「自由」に「気まま」にやりたいという生き方指向がかなり目についたことである。自己確立していなければ、社会的な視点を持ち、視野に広がりを持たせることができないのかもしれないが、やや彼等の問題意識が自分のことだけで完結してしまったきらいがある。それをもっと普遍化するように持っていくことができなかったことは今回の限界であり問題点である。
特に今回は「非嫡出子差別」の問題に少し触れただけだったが、そこからもっと「差別」一般の問題へと普遍性を持たせるところまで行けるかもしれないので、今後の課題としたい。また時間の関係で、日本以外の状況についてはほとんど言及できなかったが、それでよかったのかどうかも今後の検討課題の一つだと思う。
前述したように、今回の意識調査では授業内容の影響が少なからずあったと思われる。折あらば次回は、1)授業の前後で意識の変化がどの程度起こるか、2)年齢と意識に関係はあるか、3)出身地と意識に関係はあるか、といった点に考慮して調査してみたい。
おわりに
私が模索している生き方の方向について、志を同じくしている心地がして心強く思った本がある。なだ(1986)によると、彼はこの世の中を「なんとか、もう少し寛容な人間の多い社会にしたい」(p.191)という理想を持っている。「寛容な人間」とは氏によると「自分のものさしを持った人間」のことである。
自分のものさしを持つようになる人間の方が、気分的には安定するようだね。というのは、平均的な枠の中に自分を押しこめた人間は、つねに他人のものさしに気を使っていなければならないからだ。つまり、はたを、世間体というやつを、気にする。そればかりか平均からはずれた人間は、自分のたよりにしているものさしを、動かしてしまう危険のある人間だから、つまりは、自分をおびやかす存在なのだ。いわば、自分の土台をおびやかす敵なのだね。だから、はげしい敵意を、そうした人間にむける。人は人、自分は自分、と思っているものは、自分に直接被害がおよぶような他人の行為をのぞいて、他人の行動に寛容でいられる。(p.181)
これは、精神分析における「正常・異常」についての考察であるが、「ものさし」を結婚観やライフ・スタイル用のものとあてはめて考えても十分通じる。この本の「解説」で上野千鶴子は、「なんだ、なださんの理想は、わたしと同じじゃないか、とほっとする」(p.234)と言っているが、私も同感である。そして、今回の意識調査で、学生が自分のことばで「寛容な社会」への指向性を表現しているのを見て、私の話を正面から受け止めてもらえた喜びを感じると同時に、大げさだが「この国の将来もまんざら捨てたものではない」と少し安心した。「寛容な社会」ほど様々な生き方を追求する個人が生きやすい社会であるからだ。同時代を生きる、この悩み多き学生たちのそれぞれの「いい人生」にエールを送っておわりにしたい。
<主要参考文献>
浅野素女(1995)『フランス家族事情 ─男と女と子どもの風景─』岩波新書
榊原富士子(1992)『女性と戸籍 ─夫婦別姓時代に向けて─』明石書店
坂元良江(1996)『結婚よりもいい関係 ─非婚の家族論─』女性文庫 学陽書房
なだいなだ(1986)『くるい きちがい考』ちくま文庫
二宮周平(1990)『事実婚の現代的課題』日本評論社
二宮周平(1991)『事実婚を考える ─もう一つの選択─』日本評論社
二宮周平(1996)『変わる「家族法」』かもがわブックレット91. かもがわ出版
日本弁護士連合会編(1994)『これからの結婚と離婚 ─自分らしく、あなたらしく─』明石書店
久武綾子(1988)『氏と戸籍の女性史 ─わが国における変遷と諸外国との比較─』世界思想社
森永卓郎(1997)『<非婚>のすすめ』講談社現代新書
吉積京子(1993)『婚外子の社会学』世界思想社
<資料1> アンケート調査項目
このアンケート結果については、皆さんのプライバシーを尊重し、個人名がわかるようなかたちで公表することはありません。 1. 多様化するライフ・スタイルに関して、あなたの今の意見に相当するものに○をつけてください。 法律婚: 無視 → 反対 → 放任 → 容認 → 理解 → 支持 事実婚: 無視 → 反対 → 放任 → 容認 → 理解 → 支持 非婚カップル: 無視 → 反対 → 放任 → 容認 → 理解 → 支持 同性カップル: 無視 → 反対 → 放任 → 容認 → 理解 → 支持 3. 今日の講義について、感想・意見・質問があれば、自由に述べて下さい。今後の参考に致します。 |
<資料2> 学生のコメントより (<資料1>のアンケートの2.と3.の回答より一部抜粋)
(1年)
2. 今はまだ分かりません。「この人だ」という人がいない時はたぶん独身でいると思うし、どうなるか、またどうしたいかは分かりません。この講義を聞く前は事実婚などは絶対反対だったと思う。でも今は「そういう生き方もいいな」と思うようになりました。だから、本当にその時に思ったようにしたい。今はどのライフスタイルをとろうがいいと思っています。先生のおっしゃったように、自分が死ぬ時に「いい人生だった」と思い残すことのないようにしたいです。
3. すごく分かりやすくておもしろい講義だった。はじめにもっていた考えが180度とは言わないまでもかなり変わった。上のアンケートも、はじめに答えていたなら法律婚以外はすべて「無視」か「反対」になっていたと思う。今までよりも何だか自由な考えが持てるようになったのではないかなと思う。ありがとうございました。
(1年)
2. 私は結婚については自分の時間が束縛されるとか子どもの世話におわれるとか、お互いの新鮮さがなくなるというイメージしかもっていなかったし、自分の親をみても結婚はしたくないと思っていたので、できれば独身か、あるいはお互いに新鮮さを失わないために非婚カップルでとおしたいと思う。
3. 今日の講義での先生の事実婚の話はとても参考になった。自分は結婚したくないと思っていたが、今日の講義でこんなかたちの結婚もいいと考えをあらためた。
(1年)
2. 私は事実婚を認めますが、自分なら法律婚にします。夫となる人に経済的に全て頼ることができるなら専業主婦になりたいです。家事をしっかりこなした上で、自由時間は自分の好きな事(勉強、しゅみ)に使う事が理想です。
3. 婚姻届けで女の人はしばられないと思う。専業主婦でも立派な仕事だ。ただ彼氏がいるだけで、その彼氏にしばられている女の人もいる。婚姻届けを出す、出さないで目の色を変えるのは、不自然すぎる。婚姻届により愛が深まることがないのなら、逆に婚姻届により二人の関係が悪くなるということもないと思う。(本当に、お互いが相手の事を考えているなら。)事実婚を支持する人は法律婚のことも否定しないでほしい。
(1年)
2. 自分の親のような結婚はもうできないと思う。
たとえ結婚したとしても仕事は続けていくつもりだが、基本的に結婚しなくても別に気にならない。
(1年)
2. 自分もprofessionalとしての職を持ち、半径5m以内の生活を送る専業主婦にはゼッタイになりたくない。ただ仕事と結婚という女性にとっての永久の課題については、少しあとずさりしてしまう思いがある。実際法律婚よりも事実婚の方がより理想的であると思うし、そうしておられる先生にあこがれのようなものも感じる。しかし今の自分にとっては、”事実婚”というものに対しては”minority”への興味・感心(これは一種のあこがれに近いもの)をもっているとしか言えない。「かっこいいことやってるな」という第3者的見方をついしてしまいます。
手探りで道を探し、第1人者に自分がなれるような生き方をしたい。
3. 自分が事実婚をすることで、一般的法律婚カップルが事実婚カップルに対して冷たい目を向けてしまうということに荷担しないという考え方がとても新鮮でした。
(1年)
2. 私自身の生き方を曲げなくてもいい、理解のある男性と結婚する。「家」と「家」同士のつながりを重んじようとする親の言いなりになるのはいやだ。愛し合って生活を共にしたいとおもうようになったら、同棲も精神的に結婚と変わらないと思う。それで、いつその男性とうまくいかなくなっても離婚できるように、経済的に自立した女性になりたい。結婚と、子供を持つことは必ずしも一致しないとおもうからシングルマザーも素敵だと思う。
3. 事実婚を認めてくれる男性と結婚できることは幸せだと思いました。嫡出子・非嫡出子の問題が法律上で差別されるのは当然だと思っていたけど、子自身に何の関係もないことだと言われてみてそうだと思いました。結局、幸せな結婚とは人生を一緒に生きてゆくよいパートナーの関係であり、愛情だと思いました。個の人間として、納得して生きていければ、何でもOKな気がしてきました。(後略)
(1年)
2. 入籍したぐらいで幸せになれるとは思わないので、まわりの人にいろいろ言われるかも知れないけれど、事実婚でもいいと思う。
3. 今日の講義を聞いて、人の生き方はさまざまで、まわりの人がそれを非難したりすることはできないと思った。今は、結婚するのが当たり前だけど、本人同士が幸せだったら、どんな形でもいいと思う。大勢の人がしているのと違う生き方をしていても、他人がそれに口を出すのはおかしいし、気にすることもないと思った。
(1年)
2. 甘い考えかもしれませんが、自分が愛せる、いっしょにいられる人間がいれば、どんな形でもいいと思っています。一生独身を支持はしますが、ひとりは老後さびしそうです。同性カップルについては、一緒にいられるなら別に異性でも同性でもかまわないと思います。(私は興味ありませんけど)
3. 同年代の女性が結婚しはじめるようになり、結婚について考えることも多くなりました。結婚って何だろう、愛するのは何だろうと思います。様々なライフスタイルは出てきたものの、私はまだそれを選択する力がありません。今日の講義のようにより深く考えさせてくれる機会に感謝します。
(1年)
2. 仕事をもったら、その仕事を続けたい。「結婚」自体そんなにしたくないと思っている。
しかし、結婚するなら「法律婚」でありたい。
好きな人がいたとしてもイコール結婚にはつながらない。お互いを尊重できる方法が良い。
子供はあまり好きではないのでいらない。私は非婚カップルが良い。
(1年)
2. まず一生続けられる仕事をもちたい。でも結婚もして子供もうみたい。結婚する上で何十年も同じ人と向き合って生きていくわけあから、最初の気持ちが続くわけはないと思うので、事実婚には興味がある。
3. 今までの女性学の講義を受けてきて、「私は女性に生まれてきてすごく損をした」とか「これから生きていくには不利だし、苦労ばっかりで楽しくないだろう」と思うことが多かったけれど、今日は「女性に生まれてきてよかった」と思える講義で楽しかった。将来、いろんな選択をする時に、本当に自分のやりたいと思うことをやっていこうと思うし、勇気も出た。
(1年)
2. まだ何にもわからないけど、自分に合ったものを選んで生きていきたいです。それが、世間的にズレてても関係ないし、人に迷惑をかけずに、自分で責任が取れる範囲の選択だったらいいと思うから。
(1年)
2. 日によって考え方が違っていて、子供を連れて幸せそうにしている夫婦を見ると、私もあんなふうにしたいと思うし、テレビなどでバリバリと働くキャリアウーマンを見てると、憧れたりもします。以前は子供は別に欲しいと思っていなかったのですが、最近すごく子供が欲しいと思うようになりました。子供の前に自分の考えを理解してくれるパートナーが必要なんですけどね。どんなライフ・スタイルになってもこの人ととならいいわっていうようなパートナーが欲しいです。
3. 私にとっても男女関係というのは永遠のテーマで、最近よくこのことについて考えたりするのですが、全然考えはまとまりません。たぶん今つき合ってる人がいないし、人生経験も少ないので、いくら考えても机上の空論というものなのでしょう。私の祖母も古くさい考えを持っているので何かと圧力がありそうですが、自分にとってこれがベストと思えるようなパートナーとの関係を築いていきたいと思います。
(2年)
2. 私は好きな人とは一緒に暮らしたいと思う。それはきっと法律婚という形になると思います。私の両親は恐らく結婚というと法律婚というのがあたり前だと思っているだろうし、実際私もそのように思ってきたからです。紙切れ一枚で決まるものでもないとは思うけれど、今の日本をみるとやっぱり法律婚になるのかなあと思います。でも、結婚しても夫となる人とは対等の関係、よいパートナーでいたいので、専業主婦ではなくて自分も仕事を続けていきたいと思います。
3. 今まで結婚イコール法律婚としか考えていなかったけれど、実際は結婚にも様々な形態があることがわかった。特に法律の面から考えると、法律婚でいいのかなあと疑問がわいた所もあった。2.のライフスタイルには法律婚とかいたけれど、これからはいろいろ考えて自分にあったライフスタイルをみつけていきたいと思います。(後略)
(2年)
3. 今日のお話を聞いて、いろいろなライフスタイルがあってもいいなあと思いました。婚姻制度の問題については、私達が現在の社会にもっとあうようなものに変えていく時期だと思いました。
(2年)
2. 私も結婚するときは事実婚がいいと考えています。私は束縛されたりするのがだめだし、彼に対しても毎日会ったり、TELしたり、意味のないポケベルうったりするのはめんどくさいと思う方だし、一人の時間も大切にして、一人の人間として「いかに自分で自分が好きといえる素敵な女性になるか」をめざしているので...。それにやっぱり結婚はしたいと思うし、ずっと一人でいるのも寂しいなあと思うし、そういう点でも事実婚は、たしかに法律婚よりしんどい部分もあると思うけど自分には合ってると思います。
(2年)
2. 私自身は、多分、法律婚を選ぶと思います。彼の姓になることには違和感は感じないし...。でも、働いていきたいとは思います。(中略)でも、私も、世間の大多数の意見に流されているかもしれませんが、私は高校の時もこのような問題を家庭科でやったし、(上野千鶴子さんの出身校なので、家庭の先生がそういう人だったので)それをふまえて、私なりに考えたうえで、私は法律婚をしたいんだと思うようになりました。ただ、そうじゃない人も非難するつもりはありませんし、そういう人たちが増えてくれば、おもしろい世の中になるだろうと思います。まさに、女の人がやっと自立できるな、という感じを受けます。
3. すごく興味深い授業内容でした。こういう講義続けて、たくさんの人が少しでも古い考え(男尊女卑など)を改めていければ、すごくいい世の中になると思いました。
(3年)
2. 結婚(法律婚でけっこう)をしても仕事をしてお金を稼ぎ、自立した生活をする。高級取り(彼の自称)との結婚で経済的に安定し、二人でゆとりある楽しい生活を送る。時間がなくなるほどバリバリと仕事をしたいとは思わない。趣味の時間をたっぷり楽しみたい。家事も好きなので苦には思わない。いつでも自立できる状態にありながら、夫のスネはかじるだけかじりたい。
3. 法律婚をして専業主婦をしている人への差別はありませんか。
知識がなく、自立できない女、つまり学歴がなく、どうしても職につけず、自立できないおばさん達は日本中にいます。そうした人達にとって、今さら自立なんてこの日本では難しいこと。いい男を選ぶ目を養うのもそうした人たちにとっては、知識の1つだと思う。
(3年)
3. 私は「事実婚」ということ自体を知らなかったので、今日の講義をうけて新鮮な感じをうけました。いろいろな人が様々な価値観をもって生活しています。だから自分のライフスタイルというのは個人個人がそれぞれ異なるし、いろいろな形もあってもよいのではないかと思われます。この授業をうけて、私自身、いまから(迷いつつも)ライフスタイルを構築していこうと思います。
(3年)
2. 自分の夢は別に結婚が要素として含まれないので、結婚という言葉にあこがれは全くありません。一緒に居て居心地の良い人とずっと楽しくやっていくために、結婚(法律婚)という手続きが不可欠なのだとしたら「しようがないからやってもいいか」という気持ちと、「でもなんか違う」という気持ちがあったので、今回事実婚という概念を知って「目からウロコ」という感じがしました。自分の人生だし、死ぬ瞬間に「もう1回やってもいいかも」と思えるような生き方をして、めいっぱい楽しみたいと思います。
(3年)
2. 金銭的に相当自信が出来るまで子供は絶対産まない。
法律婚は国の制度的にメリットが大きい場合はいいと思うが、あえて親戚を増やそうとは思わない。法律婚しなくてもパートナーがいれば良し。(親はよく考えたら国際婚で、私は非嫡出子だったので、最近考えが柔軟になった)
3. 分かりやすくて面白かったです。色々な問題が男女間(制度的にも感情的にも)にはあるが、やはり暗く考えずに明るい気持ちで、不屈の精神がいいと思いました。
(4年)
2. 今日の講義を聞いて、「事実婚」についての印象が少しかわりました。事実婚については、前からしっていましたが、それは特に、自立した考えを持った女性が(精神的にも経済的にも力のある)、男性に頼りたくないという理由で選ぶものだと漠然と思っていました。そういう生き方もあるんだと、消極的に理解していましたが、今は、将来自分ももしかしたら、事実婚を選ぶかもしれないと思うし、それは男女の枠を越えて、個人としてのパートナーであれば、法律的な手続きは必ずしも必要ではないと思うからです。どちらにしろ、私は、婚姻届とか世間体ではなく、お互いの信頼と愛情で結ばれる関係を持ちたいと思います。
3. 私を含めた同じ年頃の学生は、少しずつ自分の将来(結婚を含めた生き方)について考えたことがあると思います。でも、私のまわりには今まで理想となるカップルはいませんでした。(中略)私も最近、少しだけ悩んでいたけど、まずは自分を成長させるというか、自分を磨かなくてはと思いました。